Das Orchester 1998年1月号より
この雑誌は、各地のオーケストラの求人情報が載っていることでも知られますが、 ベルリンフィルに関しては、この号に限らず、昨秋よりずっと下記のような内容です。
vier Violineeine Bratsche
ein 1. Solo-Kontrabass
ein Violoncello
eine Solo-Posaune
ein Schlagzeug mit Verpflichtung zur 2.Pauke
このうち Solo というのは、日本流に言うと主席奏者のことで、オケの要に
なる人ですから、少々言及しておきます。
コントラバスはツェペリッツの後任として若い眼鏡をかけたヤンネ・ザクザラが
就任していましたが、今シーズンよりソロを降りて、最近は後ろの方で弾いている
ようです。この方が気が楽なんでしょうか。フォルカーの部屋によると、ウィーン
フィルでも最近、同様のケースがあったようですね。
トロンボーンは、ソロは現在、太ったアルント(1964〜)と細いゲスリング(1957〜)の二人が務めていますが、40代に入ったゲスリングがそろそろソロを下りるのでしょうか。ちなみに、私は「復活」を東京とザルツブルクで聞きましたが、東京でのアルントの圧倒的な上手さに比べ、ザルツブルクでのゲスリングは今一つでがっかりしました。その時は、長年オーケストラ代表を務めていて、多忙だからかなとも思ったのですが。もっとも本当の事情はまだ不明です。
最後に、打楽器ですが、レムベンス(1933〜)が今年65歳になり、定年で引退ということでしょう。面白いのは、セカンド・ティンパニ兼務という表記。 マーラーでもセカンド・ティンパニのある曲や幻想交響曲などでは、このレムベンスが ティンパニを叩いていたのも納得できます。もっとも例外もあって、アバド就任直後の「巨人」では、重要な演奏会だったからか(アバドの「ザ・ファースト・イヤー」としてLDになっている)、ファースト: ゼーガース、セカンド: フォーグラーという布陣になっているのが興味深いです。 このレムベンス、団員紹介などの冊子では、ことごとくインタビューを拒否している ちょっと変わった(あるいは信念の強い)人のようですが、1992年の大阪公演のあと、ある飲食店でプログラムにサインをもらったら、自分の名前の上に、" (ハートマーク) lichst " との表記。よく考えるとハートマークは心臓(心)だから、ドイツ語で "herzlichst"(心より)の意味になるのですね。実際は結構ユニークな人なのかなとか思ったりもしています。
その後、レムベンスの後任について、N響の久保さんより最新情報を教えていただきました。 ベルリンドイツオペラの「バラの騎士」の公演に、ベルリンフィル打楽器奏者のシンドルベックがエキストラとして来日したそうで、彼の話によると、1月にオーディションがあり、オーケストラ・アカデミー(通称カラヤン・アカデミー)の学生が合格したとのこと。 来シーズンの団員表で、氏名もいずれ明らかになるでしょう。