1999年から聖霊降臨祭の時期に、ベルリンでモーツァルト音楽祭(Mozart-Fest Berlin)が、ベルリン・フィルとリンデン・オーパーとの共催で開催される。 リンデン・オーパーではモーツァルトのオペラ、フィルハーモニーではベルリン・フィルがモーツァルトと現代曲を含むプログラムを演奏する。 オペラは、1999年が「フィガロの結婚」、2000年が「ドン・ジョバンニ」、2001年が「コシ・ファン・トゥッテ」が予定されている。 現代曲はベルリン・フィルとシカゴ響が委嘱する作品で、1999年がリーム、2000年がA.R.トーマス、2001年がブーレーズとなっている。 ベルリンで初演された後、シカゴでアメリカ初演される。
1999年の予定は以下の通り
5月21、24日 Staatsoper Unter den Linden
Mozart: Le nozze di Figaro
指揮:ダニエル・バレンボイム、演出:トーマス・ラングホフ
5月22日 Philharmonie
Rihm: 委嘱曲(初演) Mozart: アリア集(バルトリ)、交響曲第36番「リンツ」
5月23日 Philharmonie
Rihm: 委嘱曲、Mozart: 戴冠ミサ、ピアノ協奏曲第22番
指揮はすべてバレンボイムで、私見では、どうも彼のポスト・アバドを狙った動きの一環のような気がしなくもない。 いずれにせよ、数年前からベルリンでは、復活祭の時期にもフェストを開催しているし、なかなか意欲的な点は評価できるのかもしれない。
例年シーズン最後に開催されるヴァルトビューネの野外演奏会、今年は前日に公演が追加され、 6月20日と21日の両日に渡って開催される。 今年の指揮はバレンボイムで、「ラテンアメリカの夜」と題されている。 プログラムは、現在のところ、ラヴェル「ボレロ」、ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」(独奏:ジョン・ウィリアムズ)、その他に、ヒナステラとピアソラの曲などが予定されている。
これは既にご存知の方が多いと思われるが、ベルリン・フィルの建物のある Matthäikirchstraße が、カラヤン通りと改称されることになった。 1998年4月5日、カラヤン生誕90年の日からである。 従って、このブレッターの最後に記載されている住所も、次号からは新住所に変わるはずである (4月下旬に出た Saisonvorschau 1998/99 は、新住所になっている)。 今年はカラヤン生誕90年の他に、1938年4月8日にベルリン・フィルを初めて指揮してから60年目でもあり、9ページに渡って写真入りでカラヤンの特集記事が掲載されている。
”Classical Insites”の”Global Classical Music Poll 1997”の投票のオーケストラ部門で、Best Orchesterに選ばれたとのこと。 もっとも、ここをご覧になるとおわかりのように、1位:ベルリン・フィル、2位:シカゴ響、3位:ヴィーン・フィルと、いささか月並みな感じではある(指揮者もバーンスタイン、ショルティ、カラヤンと続く)。とはいえ、こうしたことまで載るのは、さすが、インターネットの時代と言うべきか。
Großes Festspielhaus | |
---|---|
27.3. | 16:00 Tristan und Isolde |
28.3. | 18:30 Haitink/BPO (Britten: Les Illuminations, Mahler: Symphonie Nr.4) |
29.3. | 18:30 Abbado/BPO (Bach: h-Moll Messe) |
30.3. | 18:30 Sanderling/BPO (Schumann: Klavierkonzert, Schostakowitsch: Symphonie Nr.15) |
2.4. | 18:30 Abbado/BPO (Bach: h-Moll Messe) |
3.4. | 18:30 Haitink/BPO (Britten: Les Illuminations, Mahler: Symphonie Nr.4) |
4.4. | 11:00 Welser-Möst/Mahler Jugendorch. (Mahler: Symphonie Nr.6) 18:30 Sanderling/BPO (Schumann: Klavierkonzert, Schostakowitsch: Symphonie Nr.15) |
5.4. | 16:00 Tristan und Isolde |
1999年の目玉は、やはり「トリスタンとイゾルデ」でしょう。予定されているキャストは、ベン・ヘプナー(トリスタン)、デボラ・ポラスキ(イゾルデ)、マッティ・サルミネン(マルケ王)、ファルク・シュトルックマン(クルヴェナール)、マルヤーナ・リプヴシェク(ブランゲーネ)などとなっており、大変楽しみです。演出はクラウス・ミヒャエル・グリューバーとのこと。アバドはこの他、意外にもバッハのロ短調ミサを振る予定です(合唱はスウェーデン放送合唱団)。同時期にヴィーン・フィルもロ短調ミサをノーリントンの指揮で演奏する予定になっており、競演になりそうです。その他、ハイティンクがマーラーの4番、ザンデルリンクがショスタコーヴィチの15番などとなっています。また来シーズンのチクルス・テーマである 『 Mythos: Liebe und Tod(神話:愛と死) 』 に因んだプログラムで、室内楽シリーズのコントラプンクテも開催される予定ですが、詳細はまだ未定のようです。
参考資料:ザルツブルク復活祭音楽祭での上演オペラ一覧(1967〜2002年)
Großes Festspielhaus | Mozarteum/Marionetten/Schloss Mirabell | |
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3.4. | 20:00 Kontrapunkte A | |
4.4. | 18:00 Boris Godunow | 11:00 Kontrapunkte B 14:30 Einfürungsvorträge (Kurt Pahlen: "Boris Godunow") 15:00 Peter und Wolf |
5.4. | 13:00 Nagano/Mahler Jugendorch. (Strawinsky: Petruschka, Scriabin: L'extase etc.) 18:30 Jansons/BPO (Chausson: Poemes, Strauss: Eine Alpensinfonie) | 15:00 Peter und Wolf |
6.4. | 11:30 Fördererproben 18:30 Abbado/BPO (Mahler Symphonie Nr.3) | 16:00 Präsentation Publikation "Festspiele" (Claus Helmut Drese) |
7.4. | 18:30 Harnoncort/BPO (Beethoven: Prometheus, Symphonie Nr.3) | 15:00 Peter und Wolf |
8.4. | 18:00 Boris Godunow | 11:00 Einfürungsvorträge (Kurt Pahlen: "Boris Godunow") |
9.4. | 11:00 Kontrapunkte C 20:00 Kontrapunkte D | |
10.4. | 18:30 Abbado/BPO (Mahler: Symphonie Nr.3) | 11:00 Kontrapunkte E |
11.4. | 11:30 Fördererproben 18:30 Harnoncort/BPO (Beethoven: Prometheus, Symphonie Nr.3) |
9:30 Einfürungsvorträge (Kurt Pahlen: "Boris Godunow") 15:00 Kontrapunkte F 15:00 Peter und Wolf |
12.4. | 11:00 Nagano/Mahler Jugend (Strawinsky: Petruschka, Scriabin: L'extase etc.) 18:30 Jansons/BPO (Chausson: Poemes, Strauss: Eine Alpensinfonie) | 15:00 Peter und Wolf 16:00 Präsentation Publikation "Festspiele" (Claus Helmut Drese) |
13.4. | 18:00 Boris Godunow | 11:00 Kontrapunkte G 15:00 Einführung in die Oper "Boris Godunow" (Mario Gerteis, Elmar Weingarten) |
今年1998年のザルツブルク・イースター音楽祭の概要は、上記の通りです。 いずれも聞きごたえのあるプログラムが並んでいるといえるでしょう。 ご覧のように、夜のメインのプログラムの他に、午前中から各種の催物が組まれており、4日間ザルツブルクに滞在したとしても、観光する時間はほとんどないといえます(それだけ、音楽三昧、ベルリン・フィル三昧という訳です ^_^)。 オペラで「ボリス・ゴドゥノフ」が上演(再演)されることにあわせて、モーツァルテウムでのBPO団員の参加する室内楽シリーズのコントラプンクテでは、スラヴ・ハンガリー系の作曲家の作品が取り上げられます。 特に4月11日はもっとも大変な日になりそうなのですが、この日の午後3時からのコントラプンクテは、バルトーク4番、ルトスワフスキ、プロコフィエフ2番、ショスタコーヴィチ4番と、興味深い弦楽四重奏曲が4曲並んでおり、非常に注目すべき内容となっていたりします。 また今回初めてマリオネット劇場と提携して、プロコフィエフ「ピーターと狼」の人形劇も上演されますが、これもこうしたコンセプト(スラヴ路線)の一環なのでしょう。 また、ヤンソンス指揮のコンサートは、今年生誕90年になるカラヤンの追悼コンサートと銘打たれていたます。1回目の4月5日は、カラヤンの誕生日でもあります。 何はともあれ、非常に楽しみな内容です。(3月26日)
1991/92 : プロメテウス(Prometheus-Zyklus)
1992/93 : ヘルダーリン(Hoelderlin-Zyklus)
1993/94 : ファウスト(Faust-Zyklus)
1994/95 : ギリシア神話とアッティカ悲劇(griechische Mythologie und attische Tragoedie)
1995/94 : シェイクスピア(Shakespeare-Zyklus)
1996/97 : ベルク/ビュヒナー(Berg/Buechner-Zyklus)
1997/98 : さすらい人(Wanderer-Zyklus)
1998/99 : 愛と死(Liebe und Tod)
この雑誌は、各地のオーケストラの求人情報が載っていることでも知られますが、 ベルリンフィルに関しては、この号に限らず、昨秋よりずっと下記のような内容です。
vier Violineeine Bratsche
ein 1. Solo-Kontrabass
ein Violoncello
eine Solo-Posaune
ein Schlagzeug mit Verpflichtung zur 2.Pauke
このうち Solo というのは、日本流に言うと主席奏者のことで、オケの要に
なる人ですから、少々言及しておきます。
コントラバスはツェペリッツの後任として若い眼鏡をかけたヤンネ・ザクザラが
就任していましたが、今シーズンよりソロを降りて、最近は後ろの方で弾いている
ようです。この方が気が楽なんでしょうか。フォルカーの部屋によると、ウィーン
フィルでも最近、同様のケースがあったようですね。
トロンボーンは、ソロは現在、太ったアルント(1964〜)と細いゲスリング(1957〜)の二人が務めていますが、40代に入ったゲスリングがそろそろソロを下りるのでしょうか。ちなみに、私は「復活」を東京とザルツブルクで聞きましたが、東京でのアルントの圧倒的な上手さに比べ、ザルツブルクでのゲスリングは今一つでがっかりしました。その時は、長年オーケストラ代表を務めていて、多忙だからかなとも思ったのですが。もっとも本当の事情はまだ不明です。
最後に、打楽器ですが、レムベンス(1933〜)が今年65歳になり、定年で引退ということでしょう。面白いのは、セカンド・ティンパニ兼務という表記。
マーラーでもセカンド・ティンパニのある曲や幻想交響曲などでは、このレムベンスが
ティンパニを叩いていたのも納得できます。もっとも例外もあって、アバド就任直後の「巨人」では、重要な演奏会だったからか(アバドの「ザ・ファースト・イヤー」としてLDになっている)、ファースト: ゼーガース、セカンド: フォーグラーという布陣になっているのが興味深いです。
このレムベンス、団員紹介などの冊子では、ことごとくインタビューを拒否している
ちょっと変わった(あるいは信念の強い)人のようですが、1992年の大阪公演のあと、ある飲食店でプログラムにサインをもらったら、自分の名前の上に、" (ハートマーク) lichst " との表記。よく考えるとハートマークは心臓(心)だから、ドイツ語で "herzlichst"(心より)の意味になるのですね。実際は結構ユニークな人なのかなとか思ったりもしています。(2月12日)
その後、レムベンスの後任について、N響のKさんより最新情報を教えていただきました。 ベルリンドイツオペラの「バラの騎士」の公演に、ベルリンフィル打楽器奏者のシンドルベックがエキストラとして来日したそうで、彼の話によると、1月にオーディションがあり、オーケストラ・アカデミー(通称カラヤン・アカデミー)の学生が合格したとのこと。 来シーズンの団員表で、氏名もいずれ明らかになるでしょう。(2月19日 追記)