雑  感
2002年1〜4月


ケーゼクライナー
今回,ザルツブルクで発見(?)した食べ物の中で,最大のヒットは,このケーゼクライナー。 見た目はごく普通の太いソーゼージなのですが,中にチーズ(ドイツ語ではケーゼ)が入っているので, 焼いて売っているのを食べると,中のチーズがちょうどいい具合に溶けていて, これが実においしいのです。 ザルツブルクには,これまで何度か行っているのに,これを知ったのは,実は今回が初めて。 いつ頃から売られ始めたのでしょうか。 ご存知の方がおられましたら,どうかご教示下さい。

ザルツブルクのあとは,フェストターゲ期間中のベルリンに移動したわけですが, ベルリンでソーセージを売っているスタンドでは,このケーゼクライナーは まったく見かけませんでした。 ということは,ザルツブルク,またはオーストリア限定なのでしょうか。

と疑問に思って,検索してみると,次のページがヒットしました。

http://www.soga.info/soga/kataru0101.htm#ウィーン三大珍味
指揮者の曽我大介さんのページです。 この中で,ケーゼクライナーが ウィーン三大珍味の一つとして紹介されています。 さすが,現地情報が満載の素晴らしいサイトですね。 ということは,やはり,ウィーン発祥ということなのでしょうか。 もっとも,ウィーンでも,私はこれまでこのソーセージに気がついたことがなかったのですが。 ひょっとして,もうすでに,大好物だという方もおられるのでしょうか。

ところで,今回,滞在中のザルツブルクは,珍しくずっと好天に恵まれたので, 自転車を借り,アニフ(カラヤン邸)経由で,ウンタースベルクのロープウェイまでサイクリングで往復したのですが (もちろん,ロープウェイで山頂まで登りましたが), このロープウェイ乗り場内の食堂では,このケーゼクライナーを挟んだパンが, ウンタースベルガーとして売られていました。 ということで,これもお薦めです(^_^)。

(4月25日)

ホームページを開設していて、さっぱり更新しないのも、 責任を放棄したような感じで、あまり誠意ある態度ともいえませんね。 ということで、長いこと、失礼いたしました。 まだ、ザルツブルク・ショックから立ち直ったわけではありませんが、 とりあえず、最近の雑感ということで、あれこれ書かせてもらいます。

今回のザルツブルクでのベルリン・フィルに感じた不満は、 まあ、私の一方的な感情であり、かなり理不尽なものであることは、 自分でも承知しているつもりですが (例えて言えば、ある女性に勝手に自分の理想を投影したようなものでしょうかね)、 何も言わず黙っているよりは、思っていることをはっきり書いた方が、 自分でもスッキリするかとは思うので、 どこまで誤解されずにうまく書けるか自信がありませんが、 まあ、書いてみることにします。 なお、最近のアバドやベルリン・フィルに満足されている方は、 まともにはお読みにならない方がいいかとは思いますが、 反論も大歓迎ですので、どうぞご遠慮なさらずに、ご意見などを掲示板などにお書き下さればと思います。

さて、 ベルリン・フィルの《パルジファル》といったら、カラヤンの1979〜80年の録音がありますが、 あの待望の録音は発売直後から当然、私の愛聴盤。 最初は5枚組の大きなLPセットでしたが、その後、CD時代が到来し、 この素晴らしい演奏がコンパクトな4枚組のケースに すっぽり収まって発売されたときにも、これまた感激したものです。 デジタル初期の録音にしては、優秀な録音機材を使用したせいか、 この時期の他のいくつかのカラヤンの録音のような低音域の薄さも感じられず、 ツヤと厚みのある弦楽器の極上のベルリン・フィル・サウンドの上に、 管楽器の名人芸をも堪能させてくれる、 今日でもその輝きは失われない名盤といえるのではないでしょうか。 少なくとも、オケの演奏に関しては、1970〜80年代にFMのエアチェックなどしながら、 熱心にクラシック音楽を聞き続けてきた世代のファンにとっては、 オケに求めるもののすべてが実現されているといっても過言ではないという気がします (まあ、これについては、反論があるかもしれませんね ^_^;)。 ちなみに、モルのグルネマンツも、この録音ですっかり擦り込みになっているので、 今回、ミュンヘンでモルのまだ立派なグルネマンツが聞けたのは、うれしかったです。

というわけで、今回、21年ぶりにベルリン・フィルがザルツブルクで演奏する《パルジファル》、この録音に聞かれるようなサウンドが再現されることはまず無理としても、 その片鱗というか名残を、ほんのわずかでも一瞬でも楽しめれば、と期待するのも、人情というものではないでしょうか。 いくらオケの世代交代が進んだとはいえ、同じオケですからね。 ところが、今回の演奏、すべてがあの録音に聞かれるサウンドの否定から出発しているとしか考えられないような音楽でした。 弦楽器からは、つやと厚みをすべて抹殺。 もちろん、その代償として、いわゆる透明感は達成されているのでしょうが、 これが私には無味乾燥な演奏としか感じられなかったのです。

第3幕の前半、武装したまま登場したパルジファルが、グルネマンツに声をかけられて 武装を解く場面、弦楽器がユニゾンで崇高な旋律を奏するところがありますが (Doverのスコアだと、470頁)、 せめて、ここから聖金曜日の音楽以降は、奇蹟の逆転満塁ホームランのような演奏をしてくれと期待したものの、 その期待も虚しく、結局、最後まで薄味の演奏のままでした。 おそらく、99年春の《トリスタン》でのように、ヴィオラのトップにクリストがいてくれれば、私にとっては、もう少し満足できる演奏になったような気もしただけに、 ベルリン・フィルの最後の一線を守ってくれていた クリストの退団を、今回は本当に残念に思いました。 まあ、それにしても、聖金曜日の音楽なんて、もっとレベルが下のオケが演奏しても 感動するものを、よくまあ、あんな薄っぺらに演奏してくれたものです。 単独でも聖金曜日の音楽として演奏される部分の頂点のフォルテッシモ(Doverでは513頁)の、何と無意味にやかましかったこと。 まあ、見方を変えれば、もっと普通のオケの演奏スタイルで演奏してくれればいいものを、 よくまあ、あれだけ徹底してツヤと厚みを排したまま最後まで演奏し続けられたもの、その意味では、これまたベルリン・フィルの凄さなのでしょう。 さすが、驚異のオケ集団、いやはや、恐れ入りましたという感じです。

もちろん、 今のベルリン・フィルに、いつまでもお前の理想や期待を押し付けないでくれ、と言われればそれまでなのですが、 それにしても、一つのオーケストラがここまで大きく変化してもいいのでしょうかね。 少なくとも、ウィーン・フィルだったら、演奏スタイルの多少の変化はあっても、 ここまでオケのサウンドとしての変化はあり得ないような気はします。 まあ、漠然とした言い方ですが、ウィーン・フィルらしさ、というのは残りますよね。 そうなると、じゃあ、ベルリン・フィルらしさ、というのは、いったい何なんだということになりますが、本当に何なんでしょうか。 これを本格的に考えるとなると、カラヤン以前のニキシュやフルトヴェングラーの時代についても考えないといけないのでしょうし、そう簡単に解答の見出せるものではないでしょう。 もちろん、時代とともに変遷もするでしょう。 ただ、近年のドイツ的重厚さとは無縁のベルリン・フィルを目の当たりにすると、 「変わり身の早さ」がベルリン・フィルらしさなのかしら、 など悪口も言いたくなってきます(^_^)。

まあ、それはさておき、先日の教育テレビで、チェロのファウストが、 ラトル時代のベルリン・フィルへの抱負を語っていましたね。 私の記憶では、 「我々のオケは博物館ではありません。常に実験をするのです」 みたいなことを言っていたと思うのですが。 まあ、いつまでも伝統の上に乗って惰性で芸術活動を続けるようでは、 そのジャンルの未来も終わりでしょうから、彼の言うことは正しいでしょう。 ラトル時代のベルリン・フィルの変わり身(^_^)についても、注目していきたいとは 思っています。 ただ、今回の《パルジファル》のような演奏も、ベルリン・フィルの実験なのだと するならば、やはり、少々疑問を感じざるを得ないところです。 なぜ、あえて厚みとツヤを排した薄味の演奏(私に言わせれば無味乾燥な)をするのか。 もしこうした演奏が今回のアバドとベルリン・フィルの理想だとするならば、 もはや、オケ・ピットに大人数のオケはいらないのではないでしょうか。 最高の性能を持つDTMが開発されれば、こうしたマシンに《パルジファル》を 演奏させればいいのです。 ベルリン・フィルという最高の機能を持つオケは、 その技術的完璧さでもって、あえて究極の機械音楽を再現するかのような 演奏を目指していたのですから。

これについては、 マーラー・ユーゲント・オケの演奏するブルックナー8番のコンサートを聞いて、 ますますその感を強くしました。 マーラー・ユーゲント・オケは(コントラバスの指導者として、なぜか、 ツェペリッツを擁し)、 豊かな弦楽器のサウンドをたっぷり楽しませてくれたのです (もちろん、弦楽器のプルト数は、通常よりかなり多いのですが)。 マーラー・ユーゲント・オケの若者たちが演奏する、 ごく当たり前の厚みのあるオケの豊かなサウンド。 これが、やはり、オケの基本ではないのでしょうか。 一般の聴衆も、オケにはこうした響きを求めるような気がします。 ところがどうも、最近のベルリン・フィルは、私のような平凡な聴衆の求めているものより、かなり先のものを目指しているような気がするのです。 というわけで、今の私には、「ベルリン・フィルの部屋」を開設し続ける 自信がなくなってきたなぁ、というのが偽ざる実感です。

(4月24日)

本日届いたイースター音楽祭のプログラムに、来年の予告が載っていましたので、 こちらにアップしておきました。

オペラは既発表の通り、ベートーヴェンの《フィデリオ》。 指揮はもちろんラトルですが、演出はレーンホフに変更されたようです。 他にラトル指揮のコンサートは、ハイドン《四季》、マーラー5番。 それから、ハイティンク指揮のコンサートがあって、ブルックナー8番。 BPOの演奏するブルックナー、マーラーが一度に聞ける興味深いプログラムですが、 期間が4月12日〜21日と、とても聞きに行ける日程ではないのが残念なところです。

(2月18日)

アバド/BPOによるマーラーの交響曲のCD発売について、あちこちで話題になっているようですが、 マーラーの3番のロンドン・ライヴは2000年のイースター音楽祭で、 9番のベルリン・ライヴは2001年のイースター音楽祭で、 それぞれ会員向けの配布CDとして出回っているはずです。 私は、2000年のイースターには行けなかったので、3番のCDは持っていませんが、 2001年のイースター音楽祭でもらった9番のCDは、手許にあります(^_^)。

そこで、今回は、新年の更新第1弾として、私の所有しているBPOの非売品CDをご紹介することにしたいと思います。

http://raum-musik.net/live-cd.html
というわけで、今年も、なるべく頑張って更新したいと思いますので、 どうぞよろしくお願いします。
(1月8日)

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