《パルジファル》については、その後、ベルリン滞在中だったK氏からの電話でも、 感動の一端を伝えていただきました。 第1幕と第2幕は、結構、速めのテンポだったようで、 テンポの変化も激しく、やはりイタリア風のスタイルに近かったようです。 このオペラ、癒えることのないアンフォルタスの傷が、 最後の幕切れで、パルジファルの持ち帰った槍で癒されるという話ですが(^_^;)、 この傷を負ったアンフォルタスが、昨年のアバド自身の闘病のイメージと重なり、 その点でも感動的だったとか。
今週に入って、前回ご紹介したO氏から送っていただいた当日のプログラム、 及び《パルジファル》に関する別冊の冊子が届きました。 巻頭のアバドの挨拶も、なかなか気合いが感じられるものなのですが、 その中のごく一部をご紹介したいと思います。
重要なグラール(聖杯)のシーンのために、 ワーグナー自身のイメージにも一致すると思われる特別な鐘を 鋳造させることができたことに対し、 私は喜びと感謝の念を感じている。 というのも、よく知られているように、ワーグナーはこの鐘を非常に重要視したからである。
今シーズンの《パルジファル》上演にあたって、やはり、わざわざ鐘を特注したようですね。 これは、下記の新聞批評でも言及されています。
http://morgenpost.berlin1.de/archiv2001/011201/feuilleton/story480310.html http://www2.tagesspiegel.de/archiv/2001/11/30/ak-ku-5512435.html
冒頭部で紹介しているモルゲンポスト紙では、「日傘のような新しいブロンズの鐘」と書いてあり、 最後の方で紹介しているターゲスシュピーゲル紙では、「新しいアルミニウムの鐘」と書いてあるのですが、 ブロンズとアルミニウム、どっちが正しいのでしょう(^_^)。 今月発売される音楽雑誌で、この特注の鐘を、きちんと写真入りで紹介してくれるとありがたいのですがね。
先ほどホテルに戻り、シャワーをあびたところです。 終演23時38分。公演時間は5時間38分でした。具体的な情報がいろいろ書かれてあって、参考になることと思います。ありがとうございました(_ _)。まずは、わかった範囲で御報告。
鐘ですが、今まで見たことのないものでした。白っぽいグレー(薄いグレー)色で 浅いお椀を逆さにしたようなもので、それに足がついているものです。音程が4つ ですので、大小4つあり、一番大きいのは直径が1.5mくらいあったのではない でしょうか。それを大きめのハンマーでたたくわけです。実にいい音です。ティンパニはひげの人でした。 コントラバスは8人。 コンマスは「若い人」だと思います。前の米国の大統領のクリントンを若くしたよ うな顔の人でした。安永さんはその隣。 弦楽器の配置は、第一バイオリン・第二バイオリン・チェロ・ビオラの順。即ち 、舞台の右側手前はビオラということです。ビオラの最前列の2人目(つまり安永 さんとちょうど左右対称の位置)には日本人?のような東洋系の女性でした。かな りの確率で日本人だと思いますが。ビオラの第二列には西洋人の女性もいました。
ちなみにその他の楽器の位置ですが、コントラバスは第一第二バイオリンの後ろ 。その右隣(第二バイオリンの後ろ)にはハープ2人。その右側(ちょうど正面の 奥のほう)は前列(第二バイオリンとチェロの後ろ)に左からフルートとオーボエ 、その後ろ(正面最後列)に左からバスクラ1・クラ3・ファゴット3・コントラ ファゴット1。その右隣にホルン4が2人がチェロのすぐ後ろであとの2人がその 後ろ(最後列)。更にその右側(ビオラの後ろ)にトランペット・トロンボーン ・チューバ1。つまりチューバは舞台最前列の一番右側ということです(ビオラが 5列ありましたのでその後ろ。いわば「ビオラの6列目」の位置。ティンパニはト ランペット/トロンボーンの後ろ。だいたいこんな感じですが、わかってもらえた かどうか。 尚、その4つの鐘はコントラバスとハープの境目あたりの後ろでした。
演奏の印象は、大変引き締まった演奏だったように思いました。音の緊張感が緩む ことなく続いていました。歌手達も期待通り、いやそれ以上で、やはりクルト・モ ルには大変な拍手とブラボーが続きました。リンダ・ワトソンもDUSで聴いてい る時よりはるかに大きな存在感がありました。ちょうどPodiumsplaetzeのところを 舞台のように使い(と言っても何も大道具小道具はありませんが)、そこで歌手達 が極めて動きの小さい演技をして、ほんの少し動きながら歌う形式でした。 また、これは私だけの印象かと思いますが、DUSやケルンに比べて聴衆の質が非 常に高いということを強く感じました。DUSやケルンでは時々非常識な聴衆がい てがっかりすることがありますし、そうでなくても聴衆の「張りつめ感」が弱い 。今日は聴衆の「集中力」もかなりのものでした。 以上がとりあえずの報告です。
さて、掲示板でイエスキリスト教会についての書き込みをいただきました。 実は、昨年の秋、私も写真を写してきましたので、 ご紹介したいと思います。 イエスキリスト教会の他に、ティタニアパラスト、ヴァルトビューネも、 まとめて載せておきます (撮影は、いずれも、2000年9月)。
ちなみに、デュッセルドルフ在住の親友O氏が、29日の《パルジファル》を聞きにベルリンへ行くとのこと(羨ましい)。 イエスキリスト教会にも関心を示していた同氏の 出発までに間に合えばいいのですが。
なお、今度の《パルジファル》、12月1日の演奏は、午後5時から自由ベルリン放送協会のラジオで生中継されるようです。 もし、ベルリン在住の方で、ここをお読みの方がおられましたら、音源をDATなどでお恵みいただけませんでしょうかね(^_^;)。