雑  感
2002年12月


12月12日(木)は,ソフィア国立歌劇場による,プッチーニ《ラ・ボエーム》の公演。 主役陣が今一つという感じではあったものの,当日券(B席 8000円)で本格的なオペラが見れるのは, 大変にありがたいことである。 例によって(?),開演前にオケピットの中をのぞくと,木琴の下に面白い楽器を発見。 どうやら,グロッケン(鉄琴)のようであるが,おもちゃのピアノのような鍵盤がついていて,箱型をしている。 デジタルカメラがなかったので,画像でご紹介できないのが大変に残念ではあるが, 非常に古びた感じで,かなり古い楽器のようである。 もちろん,上演中のこのグロッケンの音は,普通の形の楽器の音とほとんど違わないので, 開演前にピット内を見ていなかったら,こんな楽器で演奏していたとは気づかなかったであろう。 これって,モーツァルトの《魔笛》で使われていたというグロッケンと同種のものなのだろうか。 今でも市販されているのかどうか。 (ということが気になったのは,実は,来月,なぜか私が 《魔笛》 の グロッケンのパートを任されてしまったからなのだが(^_^;)。 通常はチェレスタでやるのだから,私にはできないといったのだが,うーむ。 たぶん,電子楽器で代奏することになりそうだが,いったい,どうなることやら。)

さて,このオペラ公演のプログラムに,トモワ=シントウのインタビューが掲載されていて, その中のカラヤンに関するエピソードが興味深かったので,ご紹介しておきたい。

彼(カラヤン)に関するエピソードをもう一つ。 彼は R.シュトラウスの《カプリッチョ》を指揮したことがなかったのですが, ザルツブルクでこの作品が上演されることになったとき,突然,興味を抱き, すべてのリハーサルに譜面を持って参加したのです。 指揮者はホルスト・シュタインだったのですが,彼の後ろに座って,学生のようにずっと 譜面をめくっていました。

─ シュタインは大変だったでしょうね。

私もそう感じましたけど(笑)。カラヤンはこの作品に対して,まるで20歳の青年のように 好奇心のかたまりでしたね。

微笑ましくもあると同時に, さすが,シュトラウスを得意としたカラヤンらしいエピソードという感じではなかろうか。 ちなみに,ザルツブルクでシュタインが 《カプリッチョ》を指揮したのは,1985年,1986年, 1987年,1990年の4年。 トモワ=シントウは,1985年,1986年,1990年に伯爵夫人で出演 (1987年だけは,ルチア・ポップ)。 1990年の上演は,以前,BSで放映されたことがあるはずで,なかなかしゃれた舞台だった記憶がある。
カラヤンがリハーサルに譜面持参で参加したのは,最初の1985年であろう。 そして,トモワ=シントウと《カプリッチョ》の一部を録音したのが,1985年11月。 どうせなら,ちゃんと全曲をレコーディングしてくれてもよかったのにね (ベーム盤が既にあったから,こんなマイナーなオペラの全曲録音は,カラヤンでも無理だったとか)。
(12月15日)

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