さて、今年に入ってから、新しい独和辞典が出たようです。 三修社の『アクセス独和辞典』。教科書会社系の出版社が、語学の研究者を動員して作っただけあって、5万語クラスの学習独和辞典としては、なかなか意欲的な辞書かと思います。個人的には、斜陽のドイツ語業界がつぶれないためにも(^_^;)、この新学期には、ちゃんと売れて欲しいなとは思っています(_ _)。
ところで、最近の辞書は、巻末の付録にもいろいろと趣向を凝らして、力を入れているようです。この新しい辞書も、ドイツ語圏の国々の情報が豊富に掲載されていて、なかなか便利でありがたいです。また、図解辞典も付いていて、見て楽しめるようにもなっていると思います。 この図解辞典の最後のページに、楽器まで載っていて、オーケストラの一覧図とともに、オーケストラの楽器も紹介されています。 ただ、いくつか気になる点のあるのが、惜しいところ。
フルート die Querflöteおそらく、ドイツの図解辞典から引用したのでしょうが、フルートとホルンは、それぞれ、Flöte や Horn だけで十分だし、その方が一般的でしょう。大太鼓は、長年、打楽器のパート譜にも接してきましたが Grosse Trommel の方が普通でしょう。トロンボーンの Posaune が Pausane となっているに至っては、何を血迷ったか(一瞬、自分がこれまで間違ってスペルを記憶してきたのかと思ってしまったではないか ^_^;)。
フレンチホルン das Waldhorn
トロンボーン die Pausane
大太鼓 die Basstrommel
執筆者陣には、知っている人が結構いるのですが、どうも、クラシック音楽に狂っているというような噂の人は見当たらないようです(ちなみに、この業界には、私が足下にも及ばない程の通の方が、何人もいるのですが)。在間先生、私のところにファックス1枚でもお送り下さればよかったのに(^_^;)。まあ、来年以降、ここ以外の個所も含めて、少しずつ改訂されていくとは思いますし、このオケの図にしても、辞書全体から見れば、実に些細なことですので、あまりお気になさらぬよう、お願いします(まさか、関係者のどなたかが、ここを読まれているとは思いませんが ^_^;)。
なお、ライバル会社である同学社からも同クラスの学習独和辞典として『アポロン独和辞典』というのが5年前に出ているのですが、ここの巻末付録には、音楽用語集が7ページに渡って載っていて、なかなか面白いです。こちらを書いたのは、クラシック音楽好きの先生とのことです。私は面識がないのですが、愛媛大学の先生とか。
何はともあれ、BPO好きの皆様には、ついでにドイツ語も勉強していただければと(^_^;)。ご質問などありましたら、気軽にメールや掲示板などでお寄せ下さればと思います。
本日、「ムラヴィンスキーの至芸」の特典ビデオが届きました。冒頭の「ルスランとリュドミラ」序曲、カメラは最初から最後までムラヴィンスキーを写したままなのですが、なかなか味があっていいですね。晩年の演奏なので、60年代の録音のようなあの凄い勢いは薄れていますが、やはり見物聞き物です。休暇でくつろぐムラヴィンスキーの貴重な映像もありますが、最後、1940年の「花のワルツ」にもびっくり。よくこの時期のこんな映像が残っていたなと感心もするのですが、37歳のムラヴィンスキー、まるでフルトヴェングラーかクライバー父の若い頃とそっくりというような印象。実に見ごたえのある20分程の映像でした。
さて、前回、団員情報で、第2ヴァイオリンのトップとして長らく活躍してきたヴェストファールが退団したことに触れましたが、彼は1930年生まれ。これで、1930年生まれの奏者が全員、BPOを去ったことになるようです。ところで、1930年生まれの奏者というと、他にも何人か有名な奏者がおりましたので、ここでまとめてみることにしました(^_^)。
いずれも、お馴染みのなつかしい名前ばかりかと思います。ヴェストファール (1930年10月12日生まれ): 第2ヴァイオリン (1951年入団)
ボルヴィツキー (1930年10月6日生まれ): チェロ (1956年入団)
ツェペリッツ (1930年8月25日生まれ): コントラバス (1951年入団)
ドゥーゼ=ウテシュ (1930年8月30日生まれ): トロンボーン (1954年入団)
フォーグラー (1930年11月28日生まれ): ティンパニ (1970年入団)
ところで、ここで重大な訂正です。団員情報の「Vorschau 1997/98 にみる団員の異動」において、以下のように書いています。
1931年生まれ1964年入団のゲルト・ザイフェルト(Gerd Seifert)が定年を迎え(日本公演で「復活」を演奏した96年10月17日が65歳の誕生日)、96/97シーズン途中で退団したようである。 97年3月のイースター音楽祭の団員名簿からも名前が消えており、出演していなかった。このように定年で退団したかのような書き方をしていますが、通常、BPOの団員が定年で退職する場合、65歳になるシーズンの最後までは在籍しているはずなので、ザイフェルトのシーズン途中での退団は不思議には思っていたのです。 この点に関して、先日、BPOの内情にお詳しいKさんからメールで教えていただきました。それによりますと、「ゲルト・ザイフェルトの退団理由ですが、定年で辞めた訳ではありません。退団時期が定年と間違いやすい時期であった為、多くの方が誤解なさっているようですが、実はベルリン・フィル内である事件がありインテンダントに解雇されたのが真相です」とのことです。 インターネットで情報を流す以上、情報の正しさが重要ですので、ここで訂正させていただく次第です。団員情報の方には、近いうちに、補足しておきたいと思います。ということで、Kさん、どうもありがとうございました。今後ともいろいろご指摘・ご教示下さいますよう、よろしくお願いします(_ _)。
なお、この事件の詳細については不詳ですが、ザイフェルトの問題行動などについては、テーリヒェンの本でも(あるホルン奏者の話として)触れられたりしており、結構、ご承知の方もおられることと思います。 ただし、彼の演奏の素晴らしさと、そういった行動については、別々に考えたいと思っています。バイロイトのジークフリート=ルーフは、やはり素晴らしかったですからね。
それから、これもKさんに教えていただいた情報ですが、1933年生まれのヴィオラの土屋邦雄さん、今シーズンで定年を迎えるわけですが、「ヴィオラ・セクションとアバドの推薦により、来シーズンも特別契約でメンバーとして留まるようです」とのこと。これからも、まだまだ頑張っていただきたいものですね。と、この部屋からも、声援をお送りしたいと思います(^_^)。
さて、明日は、今年度最後に徳島に行く日なので、たぶん更新はありません。明後日以降、シェーンベルクの「ペレアスとメリザンド」の批評でもご紹介できればと思ってはいるのですが。なお、今回も、「トリスタン」の時と同様、通常は第1ヴァイオリンの席にヴィオラを置く配置だったようです。テレビでぜひ見たかったものです。ほんと、残念です。
Souveräne Übersicht
Die Philharmoniker und Maurizio Pollini unter Claudio AbbadoIm Sog von Schönberg
Das Berliner Philharmonische Orchester und Claudio Abbado