雑  感
1998年2月


未熟な点はまだまだ残ってはおりますが、とりあえず「ベルリンフィルの部屋」を 立ち上げてみることにしました。 今後どんな展開になるか、自分でもまだ全然見当がつきませんが、 何とか無理のない範囲で充実させていければと考えています。 気軽にご意見ご感想などお寄せいただければ幸いです。
開設にあたって、 1998年2月4日

先週、何とか開設までこぎつけましたが、見捨てられてしまわないよう、週に一度くらいは更新したいと思っています。ということで、情報のコーナーに若干の情報を追加しました。

長野オリンピックの開会式をご覧になった方は大勢おられることでしょうが、 この部屋に関係すると思われる話題を少々。最後の第九の大合唱での小澤征爾指揮する オーケストラは、サイトウ・キネンのメンバーにウィーン・フィルのメンバーが加わった団体のようでしたが、コントラバスではツェペリッツが目立っていましたね。 彼はかつてのベルリン・フィルの強力コントラバス集団のトップとしてオケ全体を代表するような人でもありました。残念なことに、定年を迎え、94/95シーズンを最後に引退しましたが、 " Mostly Classic Vol.3 (97年6月) " ( レコード店で無料で配布しているペーパー )に興味深い紹介記事があったことを覚えている方もおられることでしょう。 『サイトウ・キネンの成功の一面をツェペリッツの活躍に聴く』(山崎睦)と題された もので、内容は「世界最強のバス集団として驚嘆されるようになる」と 彼の功績を賞賛したあと、「ところが時代は変わり、現在のシェフ、アバドは重心を 下に置いた音楽を嫌い、むしろ軽み、透明感といったことに関心を向けている。 バス・セクションは「デカい!、弱くしろ!」と注意され、かっての影もなく、 みるみる衰退してしまった。栄光の一時代を築いたバス集団を、 かくも無惨に萎縮させたことに対するツェペリッツの憤りは察するに余りある。 そして、失意のうちに定年」といったもの。そして、そのウサをサイトウ・キネンが 晴らしてくれたという話になるのだが、「失意のうちに定年」というのが何とも やりきれない話。

この点は、先頃退団したティンパニのフォーグラー(団員名鑑参照) も同様なのではという感じがするところ。「カラヤンのころにベルリン・フィルの十八番だった低音がずいぶんと影をひそめています。コントラバス、チェロ、低音域が鳴ってこない。響きが軽くて明るくなった。あれはやっぱりアバドのキャラクターです。フォーグラー先生なんて、カラヤンの時の三分の一の音量で叩いている」(近藤高顕「オケ・マンから見たカラヤン」 『対決!カラヤン vs バーンスタイン CDジャーナル ムック』所収)といった証言も見られるからです。 昨夏だったか、BSで放映されたアバドのドキュメンタリー番組でも、95年のザルツブルク復活祭音楽祭での「田園」のリハーサル風景が映っていましたが、 嵐の場面、ティンパニのフォーグラーが思いっきりロールを叩き始めたら、アバドは演奏を中断し、「そこはディミニエンドで」との指示。フォーグラーが「ここはフォルテッシモ(ff)と書いてあるではないか」と、譜面を高々と上に差し出して食ってかかるという、最近のベルリンフィルを象徴する一幕が収録されていたのが、大変に印象的でした。この時の本番の演奏、私はザルツブルクで聞くことが出来たのですが、途中、練習番号Dの3小節目と7小節目のスフォルツァンド(sf)の 2発を両手で叩いていたのが、せめてもの救いでした。

ちなみに、この「田園」の嵐の場面、フォーグラーにはこだわりがあるようで、超高速でガーッと思いっきり叩くことを信条としているようです。 私もやはりそうでなければ嵐ではないという気がしますが(^_^)。 かつて、小澤/ボストン響がベルリン公演で「田園」をやった際、ティンパニ奏者のファースが大きい撥を使い、ゆっくりのロールでドーっと叩いたのでフォーグラーが激怒したという話が残されていますが、さもありなん。 このファース、サイトウ・キネンの常連で、長野での第九でもティンパニを叩いていた人ですね。そんなことも思い出しながら、長野での演奏を見ておりました。 存在感のある立派な音を出していたのはさすがでしたが、あの体を前屈みにして叩く奏法は、やはり私の好みではないようですね。叩き方は、フォーグラーと正反対と言えるかと。

ザルツブルク復活祭音楽祭は、実はメインのプログラムよりも、最近は室内楽シリーズのコントラプンクテが要注目で、昨年も、シェーンベルク「浄夜」「ピエロ」、ベルク「叙情組曲」で、何とも圧倒的な名演奏をしてくれたのでした。しかも、1回の入場料はたったの1000円(100シリング)。 今年は「ボリス」がオペラで上演されることに併せて、スラヴ・ハンガリー系の作品が取り上げられるのですが、弦楽四重奏曲でも、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフ、バルトーク、ルトスワフスキなどの作品が演奏されます。先日も、バルトークの全集、プロコフィエフの2番、ルトスワフスキのCDを購入。 昨日は、バルトークの1番と4番のスコアも事前の勉強用にと購入してしまいました。 あと、バルトーク「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」では、 ゼーガースのティンパニも大変注目されます。 問題は、あと現地に聞きに行けるかどうかだけなのですが、 地元高松の名門高校出身で同僚のF語担当教授からの相変わらずの 陰湿な嫌がらせ発言などもあるようで、果たしてどうなるのやらといったところ。

( 2月12日 )

これまでのところ、この部屋はお陰さまで、打楽器関係のMLやHP(PPN)で反響があり、今回はご要望にお答えして、歴代打楽器奏者一覧を作成いたしました。如何でしょうか。もちろん打楽器以外のパートについても今後充実させていく予定でおります。それからN響のKさんより、最新情報をお知らせいただきました。本当にありがたいことです。どうもありがとうございました。早速いくつか追加しておきました(レムベンスの後任とフォーグラーの近況)。
2月19日

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